スポット型LED

用品解説
用品解説飼育器具

初心者のための照明ガイド、第3回目。
今回はちょっと変わり種?ともいえるスポット型LEDについて解説していきます。


スポット型LEDとは

ボルクスジャパン
「Grassy LeDio」シリーズ
ブルーハーバー
バイタルウェーブ2シリーズ
ZOOX
「RAYZ」シリーズ

スポットライト型の、電球用のソケットを使うタイプのLED。
小型水槽用のメイン照明として使うことはもちろん、追加照明が欲しいときにも使える機種です。

使うソケットは家電の電球と同じ、主にE26の口金が主流となっています。

一般家庭用でおなじみの電球=E26サイズの口金

光の色は固定のものが多く、青が強いものから赤~緑やUVなど多くのバリエーションがあります。

30~40cm幅の小型水槽では1台、それ以上の大型水槽では複数台を組み合わせて使うことを想定した作りになっていることが多いです。

多彩な光のバリエーション

さまざまなメーカーより多くのバリエーションが発売されていますが、ボルクスジャパン「Grassy LeDio」シリーズとブルーハーバー「バイタルウェーブ2」シリーズのバリエーションが群を抜いています。
これらは主にサンゴの育成や色を鮮やかに出すために使われます。

ボルクスジャパンGrassy LeDio」シリーズ
水深に応じたメイン照明に適した構成
ブルーハーバーバイタルウェーブ2」シリーズ
サンゴの色素別の色揚げや、藻類と植物の光合成に特化した構成

特に「バイタルウェーブ2シリーズのこだわりは徹底していて、使用しているLED素子は高品質で知られるメーカーのものを多数使用しています。「SPECTRA」にも使用されている素子と同レベルの素子を採用しているので、その性能は折り紙付きともいえます。

ブルーハーバーバイタルウェーブ2仕様LED一覧
高品質で知られるLED製造メーカーの素子が使われています

用途はメイン照明向けと追加用(主にサンゴの色揚げ)の2種類

スポット型LEDの用途は主に2種類。
メインの照明に使えるものと、特定の色に特化した追加用(補色)のものに分かれます。

メイン照明は主に浅場の海中(青白)、深場の海中(深い青)、海面付近(白色光)の3パターンがあります。

メイン照明の光のイメージ

※ボルクスジャパン Grassy LeDioシリーズでのイメージ画像です

浅場の海中
(1~10m)
青白い光
深場の海中
(10m以深)
深い青の光
海面付近
(0~2m)
白色光

追加用は単体の特殊なカラーが多く存在しており、用途としてはサンゴの色揚げに特化したもの、海藻の育成に向いたものなど飼育する生物に合わせて選ぶことができます。

ディープブルーは深場の生物を飼うときに単体での使用も可能ですが、他の色は特殊なものが多いのでメイン照明と組み合わせて使いましょう。

追加照明の光のイメージ

※ボルクスジャパン Grassy LeDioシリーズでのイメージ画像です

ディープブルー
深場の生物のメイン照明として使用OK
サンゴの蛍光色(グリーン)強化用
シアン
サンゴの蛍光色素(レッド)
強化用
バイオレット
サンゴの蛍光色素(シアン、ブルー)
強化用

メイン照明に向いた製品

浅場の海中を再現した水槽では、主に白色~青白い光のものが使われます。
海の雰囲気を強く出したいのであれば青白い照明を選びましょう。

【青白系】

用途:浅場(水深1~10mを想定した環境)の水槽向け
  ⇒一般的な好日性サンゴ、浅場の海水魚

※光の色はイメージとなります

ボルクスジャパン「Grassy LeDio RX122s コーラル」
ボルクスジャパン「Grassy LeDio RX122s リーフ」
ボルクスジャパン「Grassy LeDio RX122sc マリン」※UV素子非搭載
ブルーハーバー「Vital Wave II サン」
ZOOX「ShallowReefRAYS」
ボルクスジャパン「Grassy LeDio RX072e アクア」

【青系】

深場の海水魚やサンゴ用には青みの強い光を選びます。

用途:深場(水深10m以深を想定した環境)の水槽向け
  ⇒サンゴ(LPSなど)、深場の海水魚

※光の色はイメージとなります

ボルクスジャパン「Grassy LeDio RX122s ディープ」
ボルクスジャパン「Grassy LeDio RX122sc ディープ」※UV素子非搭載
ZOOX「Super Blue RAYS」

【白色光】

白い光は主に海面直下に生息しているミドリイシや緑色の海藻、アマモなどの海草用に使います。

用途:海面付近(水深0~2m以内を想定した環境)の水槽向け
  非蛍光色サンゴ、海草、海藻

※光の色はイメージとなります

ボルクスジャパン「Grassy LeDio RX122s フレッシュ」
ブルーハーバー「Vital Wave II プラント」
ボルクスジャパン「Grassy LeDio RX201 サン」

海中の光環境と生物の生息水深別の詳細な解説は次回以降に行う予定です。

追加照明として使う製品

追加照明用としてラインナップが最も多いのは、サンゴの蛍光色や色素を強く出すためのものになります。サンゴの色揚げについては、追々単独の記事を上げていきますのでお待ちください。

サンゴの色揚げ用として使うもの

サンゴの色揚げ用(蛍光色素と非蛍光色素強化用)

※光の色はイメージとなります

ブルーハーバー「Vital Wave II UVA」
ブルーハーバー「Vital Wave II バイオレット」
ブルーハーバー「Vital Wave II シアン」
ブルーハーバー「Vital Wave II グリーン」
ボルクスジャパン「Grassy LeDio RX072e バイオレット」
ブルーハーバー「Vital Wave II アンバー」

サンゴの育成(褐虫藻の成長)に適したもの

赤の領域と青の領域が混ざったものはサンゴ用としても使えますが、サンゴの成長を促進させるために褐虫藻に適した構成になっています。そのため、サンゴ以外に海藻の育成用としても使用可能です。

このタイプは赤の領域と青の領域を含むため紫色に見える光が多いですが、UVAを含むバイオレット系のスポットLEDとは含まれる波長域が異なるので光の色だけではなく製品のスペクトル図も確認しましょう。

サンゴの育成用(褐虫藻に適した仕様)、海藻育成用

※光の色はイメージとなります

ブルーハーバー「Vital Wave II クロロフィル」
ボルクスジャパン「Grassy LeDio RX072e リーフパープル」
ボルクスジャパン「Grassy LeDio RX072e サンセット」

調光可能モデルも

スポット型LEDにもシステムLEDのように複雑なライティングコントロールが可能な製品があります。

ブルーハーバー「バイタルウェーブ2」シリーズのコントロールアプリ

ブルーハーバー「バイタルウェーブ2シリーズは、アプリでの調光機能がデフォルトで備わっているモデルで、特定の波長領域に特化したスポット型のシステムLEDといえる機能を持っています。

オプションで調光可能に

ボルクスジャパン「Grassy LeDio」シリーズは単体では固定式ですが、別売りのBluetoothユニット「Ledio BT2」をつなぐことでスマートフォンのアプリによる調光が可能になります。※対応機種のみ

この機能を使うことでシステムLEDに近い複雑なライティングコントロールが可能となります。

メーカーによる「GrassyLedio用Bluetooth通信ユニット」の説明動画

散光と集光の切り替えが可能なモデル

ZOOXの「RAYS」シリーズはアプリでの調光機能はありませんが、前部のアジャスターを回すことで広い範囲を照らす散光と狭い範囲で光を強める集光を切り替えできる構造になっています。

これにより小型水槽では集光でメイン照明に、大型水槽では散光に切り替えて使うことができます。

メーカーによる「RAYZ」照射範囲の調整についての説明動画

設置の仕方

スポット型LEDは単体では使えません。
クリップ式のソケットやフード付きのソケット、スタンドなどと組み合わせて使います。

ソケットの規格は市販のE26と共通のものになっているので、家電量販店やホームセンターで販売されているものも使用可能です。

ボルクスジャパン「レディオクリップ M」
ZOOX「LEDソケットブラック」
ボルクスジャパン「レディオクランプ2」

水槽周りに柱や棚などクリップで留められる場所があればクリップ式ソケットのみでも使えますが、そういった場所がなければスタンドやアーチなども用意しましょう。

A-CUBE factory「キャットウォーク・クリップ」
カミハタ「アーチスライド」

多灯カスタマイズ

スポット型LEDはその形状から出力はあまり高くなく、幅広い面積を照らすのには向いていません。
幅の広い大型水槽や強光を必要とする水槽では複数台使用する必要が出てきます。

ですが拡張性が高いため、増設もそれほど難しくはありません。

さまざまなライトスタンドやソケットを使って多灯式にカスタマイズすることも可能です。

カミハタ「アーチスライドBS+DSキット」を
使用した多灯例
ボルクスジャパン「レディオアーチ+ レディオクランプ」を
使用した多灯例

好みが分かれるところであるかと思いますが、個人的には昔のメタルハライドランプ多灯水槽を彷彿とさせるこのインダストリアル感はとても好みなので推したいスタイルです。

さらにD.I.Y.スキルをお持ちの方であれば、ダクトレールを天井や壁に取り付けての配置も可能です。
自分なりのカッコイイを詰め込んだスタイルを追求できるのもスポット型LEDの魅力といえますね。

アイデア次第でダクトレールを使ったセッティングも可能です

まとめ

スポット型LEDの特徴、ポイント

拡張性の高いカスタマイズ特化型照明。
色味のバリエーションが多く、メイン照明から追加照明まで幅広く使えるラインナップ。
▶使用するには対応するソケットを用意する必要あり。
▶平均的な価格帯は¥8,000~¥20,000。

ひとまずはこれを押さえておきましょう。

次回は海水魚やサンゴなど、飼育する生物によって「どんな光を選べばいいのか?」を予定していますので、楽しみにお待ちください

大まかな機種の違いと選ぶポイントについては下記のとおりです。

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