買ったばかりの魚が死んでしまった!原因と対策

魚同士の相性について
魚同士の相性について

どうも、ほにゃらら sp.です。

今回のテーマは「買ったばかりの魚が、導入してすぐに死んでしまう」場合の原因と対策について。

購入した魚を、待ちに待った水槽に導入!
しかし、導入の仕方や飼育環境によっては、たった数日でお亡くなりになってしまうことも……。
このような悲劇は避けたいところです。

今回は、そんな悲劇が起きてしまう原因と対策についてご紹介します。
導入したとたんに魚がすぐに死んでしまう原因としては、主に以下の4つが考えられます。

水合わせに失敗した

買ってきた魚をいきなり水槽にドボン!

……ということはあまりないかと思いますが、もしやってしまっていたのであれば、それが原因の可能性は高いでしょう。

到着した熱帯魚をいきなり水槽内に入れてしまうと、せっかくの生体が水質の差にショックを受けて負荷がかかります。
その結果、調子を崩してしまうことがあります。

これは、お手持ちの水槽と、輸送中の袋の中とでは水質が異なるためです。

「水合わせ」とは、この水質の差を導入するまでの間に少しずつ慣らし、導入先の水槽にゆっくりと近づけていくことで負荷を和らげるための作業です。

「水合わせ」を行うことで、購入してすぐの生体に起こりがちなトラブルの発生率を軽減できます。
熱帯魚を飼育するのであれば、必ず身につけておくべき基本的なテクニックです!

水合わせの所要時間は、およそ1時間前後です。

水合わせの重要性は生体の種類によっても変わります。
比較的水質の変化に強い種であればどのまま投入しても生き延びる場合がありますが、変化に弱い種では水合わせをしなかっただけで死んでしまうこともあります。

特にビーシュリンプをはじめとしたシュリンプ系全般、ディスカス、アピストグラマ、プレコなど水質の変化に敏感な魚種では、この水合わせという作業がとても大事です。

じっくり水合わせを行いたい生体
レッド・ビーシュリンプ
ディスカス
アピストグラマ
プレコ

新しい環境へのストレス

水合わせをきちんと行って導入したのに、それでも死んでしまうとき。
それは、新しい環境へのストレスである場合が多いでしょう。

主に、以下の4つの原因が考えられます。

  • アンモニア濃度が高い
  • 飼育環境が生体の特性に合っていない
  • 免疫力の低下による病気の発症
  • 拒食を引き起こした。

アンモニア濃度が高い

ろ過バクテリアがきちんと定着していないとアンモニアや亜硝酸といった有害な窒素化合物が残存し、中毒症状を引き起こして死んでしまうこともあります。

水槽を立ち上げたばかりですぐ死んでしまう場合は、フィルターへバクテリアがまだ定着していない可能性を疑いましょう。

▼有害な窒素化合物についてはこちらを参考

バクテリアの定着には通常2週間~1ヶ月程度かかります。
お急ぎの際はバクテリア剤を投入すると、その定着を早めることができます。

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飼育環境が生体の特性に合っていない

熱帯魚の種類によって、好む・好まない水質があります。
多くの熱帯魚は中性付近の水質で飼育可能ですが、一部に極端な弱酸性を好んだり、反対に極端な弱アルカリ性を好むものもいます。

pHだけでなく、硬度(GH)も重要です。
こちらも種類によって、低めを好むものと高めを好むものとがいます。

弱酸性を好むグループ
アピストグラマなど南米産の魚種は
弱酸性の軟水を好むものが多い

カラシン(テトラ)、アピストグラマ、エンゼルフィッシュ、プレコ、ディスカス、ベタ、グラミー、アナバス、コリドラス、オトシンクルス、ロリカリア、アロワナ

弱アルカリ性を好むグループ
アフリカンシクリッドなどアフリカの湖産の魚種は
弱アルカリ性の硬水を好むものが多い

グッピー、プラティ、卵胎生メダカ(モーリーなど)、アフリカンシクリッド、金魚

一般には、グループごとに上記のような傾向が見られます。

一概に言えないグループ

同じコイ系でも好む水質が全然違う

ラスボラ・ヘテロモルファ
弱酸性を好む
ミクロラスボラ・エリスロミクロン
弱アルカリ性を好む

グループによっては一概に弱酸性、弱アルカリ性といった傾向が少なく、魚種ごとに判断が必要なグループもあります。

卵生メダカ(ランプアイなど)、コイ(ラスボラなど)、ローチ、ボーシャ、タニノボリ、レインボーフィッシュ、ハゼ、フグ、ポリプテルス、日本産淡水魚は、グループ内でも多少のばらつきが見られます。

これらは種単位で判断しましょう。

日本の水道水は一般にpH7.0~7.5程度です。
硬度は、お住いの地域によって大きく変わります。
南米産の水草でも育てやすい1~3程度の地域もあれば、10を超えるような地域もあります。
知りたい場合は、水質測定キットを使用し測定しておきましょう。

なお、底床やレイアウト素材にソイルや流木を採用しているとpHは若干下がる傾向があります。
大磯砂など石系の底床や、レイアウトストーンを採用しているとpHは若干上がる傾向があります。

▼水質の整え方についてくわしくはこちら

免疫力の低下による病気の発症

生体を新しく導入した時、導入された生体から見れば生息環境が大きく変わったことになります。
生息環境が大きく変わると、一時的に免疫力が低下し病気を発症しやすい状態になります。

魚は免疫力が低下すると、すぐに病気に罹ってしまうことも多いです。
白点病はこのような状態の魚に、よく見られる病気です。

一時的に免疫力が下がる期間を乗り越えるため、対策として導入前のトリートメントが有効です。

基本的に魚は一度病気に罹ってしまうと、治療は難しいことも多いです。
このため、トリートメントなどでできる限り予防をしっかりと行うことが重要です。

万が一に備え、魚病薬も持っておきたいところですね。

▼こちらも参考

拒食を引き起こした

熱帯魚の種類によっては人工飼料を与えても餌と認識できないことがあります。
このような魚種には餌付けが最初に必要です。

とはいえ、拒食を引き起こしてすぐに死んでしまうということは少ないです。
導入直後はエサを食べないというのはよくあることで、多くの魚は一週間程度はエサを食べなくても平気です。

餌付けが必要なことが多いグループ
アロワナ
ポリプテルス
大型ナマズ類
ダトニオ類
淡水フグ
パイプフィッシュ
(ヨウジウオ)

アロワナやポリプテルスといった大型肉食魚は、基本的に餌付けが必要です。
いきなり人工飼料を与えてもエサとは認識できないので、まずは生餌を与えて徐々に慣らしましょう。

フグの仲間は個体による性格の差が激しいです。
素直に人工飼料を食べてくれる個体もいますが、好き嫌いの激しい個体も多いです。
色々試して個体の好みを探ってみましょう。
傾向としては、貝類や甲殻類を好む個体が多いようです。

パイプフィッシュは口が非常に小さく、動いていないものはエサとして認識できません。
このため、基本的にブラインシュリンプ幼生が主食となります。

餌付けとは、最初は赤虫や活きたエビ、メダカ、金魚などを与え、徐々に人工飼料へと切り替えていくテクニックです。

人工飼料をエサと認識できないために食べてくれないので、根気よく与え続け人工飼料への切り替えを目指しましょう。

なお、個体の性格によっては人工飼料に全く餌付かない個体もいます。
そのような個体は、生餌で終生飼育するほかありません。

販売店では人工飼料を食べていたのに、家の水槽に導入したら食べなくなるということもあります。
これは輸送による一時的なストレスであることが多いでしょう。

このような場合は、一度嗜好性の高い生餌を与えます。
その後再び、少しずつ人工飼料に切り替えていくと食べてくれることがあります。

拒食の原因

一口に拒食と言っても、その原因には色々な要素があります。
例えば水質が合っていない、ろ過が効いていない、混泳相手に負けて怯えている、など……。

本来であれば人工飼料に餌付きやすい魚種で拒食が起こる場合、水質や飼育環境も見直してみましょう。


先住の生体から攻撃を受けた

買ったばかりの魚がすぐに死んでしまう理由として、混泳にまつわるトラブルも多いです。
先住の魚が縄張りを持っているところに新しい魚を追加すると、攻撃対象とされてしまうことがあります。

個体の性格の相性次第では、多少の小競り合い程度で済むこともあります。
一方で、逆にボロボロになるまで徹底的に追いかけ回されることもあります。

あからさまに力関係の優劣が認められる場合は、片方を水槽から取り出しましょう。
さもないと、力関係が劣る個体は徹底的に攻撃され、殺されてしまう可能性があります。

このようなトラブルを未然に防ぐためには、熱帯魚のグループ同士の相性を考えることです。
体のサイズが同程度の大きさの種を選ぶのはもちろんのこと、今いる魚とこれから追加しようとしている魚の基本的な性質が分かれば、攻撃されるリスクはある程度予測可能です。

▼グループ同士の相性はこちらも参考

混泳早見表
「混泳早見表」の記事一覧です。

しかし、できるのはあくまでも予測まで。
混泳の成否は、個体同士の性格による部分も大きいです。

最終的に上手くいくかどうかは、混泳させてみないと分かりません。

トラブルが起きにくい魚種

観賞を目的とした水槽である以上、できるだけ魚たちには平和に暮らして欲しいものです。
比較的温和とされる魚種同士の組み合わせから選ぶようにすると、混泳トラブルは起こりにくいです。

混泳トラブルが起きにくいグループ
小型カラシン(テトラ)系
ラスボラ系
コリドラス系
ローチ(ドジョウ)系

この4グループは比較的他魚への攻撃性が低く、また他魚からも攻撃されにくいグループです。
極端に攻撃性の高いグループを除けば、多くの魚種と混泳が楽しめます。

※多くの種が該当しますが、すべての種がそうではないので注意が必要です。
※温和とされる魚種であっても、体格差があまりにも大きすぎる場合は小競り合いが生じる場合もあります。

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なお異なる種類の魚を混泳させる以上、混泳トラブルのリスクを0%にすることはできません。
100%確実にトラブルを避けたいならば、単独飼育が良いでしょう。

また上記の例とは逆に、本来は混泳が困難とされる組み合わせであっても、個体の性格相性によっては混泳が成立することもあります。

例えばフグやシクリッドの仲間は基本的に性格が荒く、他魚への攻撃性は強いことが多いです。
しかし、個体によっては比較的温和なものもおり、そのような個体は混泳が成立することもあります。

個体の性格は移動などのストレスにより、変化することもあります。
例えば店にいるときは仲良く混泳ができていても、同じ組み合わせで購入して持ち帰ったら、環境の変化をきっかけにケンカし始めるということもありえます。

攻撃された場合の対処法

魚がどうしてもケンカしてしまう場合は隔離します。

1対1でのケンカであれば、“いじめる個体”を隔離するのが有効です。
1対複数のケンカの場合は、“いじめられる個体”を隔離します。

隔離の際は、隔離用の水槽を別に用意するか、または専用の隔離ケースを用いると良いでしょう。

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ケンカで負けた個体はしばしば、表皮やヒレがボロボロです。
そのままにしておくと雑菌が侵入し、「水カビ病」「尾腐れ病」を発症するリスクがあります。

ヒレが欠損したり鱗が剥がれたりと、ダメージが明らかに大きいようであれば予防策として魚病薬を用い、薬浴すると良いでしょう。塩水浴もある程度対策として有効です。

治療が終わっても、ケンカする個体は個体同士の相性が悪い可能性が高いです。

いじめる側の個体をしばらく隔離しておくと縄張りが消え、混泳可能になる場合もあります。それでも基本的にはその個体は同じ水槽では暮らせない組み合わせと考えたほうが良いでしょう。


水槽外への飛び出し

水槽外へと飛び出し、発見時には干物になってしまっている……。
意外と多いのが飛び出しによる事故です。

飛び出し事故が多い魚種はある程度限られています。
それらの魚種を飼育する場合は、フタをしたほうが安全でしょう。

飛び出し事故の多い魚種

飛び出し事故の多い魚
テトラ(小型カラシン)系
ラスボラ系
ダニオ系
ハゼ系
ローチ系
スネークヘッド系
ポリプテルス系
アロワナ系

遊泳魚によくある事故かと思いきや、意外と底生魚にもよくある事故として知られます。
ハゼ系、ローチ系、ポリプテルス系は底生魚でありながら、特に飛び出し事故の多いグループです。

テトラやラスボラ、ハゼ、ローチといった小型魚はわずかな隙間から飛び出すことがあります。
できるだけメーカー専用品を用いるなど、可能な限り密封できるものを選びましょう。

スネークヘッド、ポリプテルス、アロワナといった中大型魚は体力があるので、病気で死んでしまうことはあまりありません。
しかし、飛び出し事故で死んでしまうことは、病気で死んでしまう例よりも多いでしょう。

高価な魚種も多いので、悲しい事故を避けるためにもフタは必須と言えます。
大型個体になるとフタをしているだけでは突き破ってジャンプすることがあるので、石などで重しを載せたほうが安心です。

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飛び出し事故の遠因は、ここまで紹介した不慣れな環境、合わない水質、他魚によるストレスなどが原因であることが多いです。

また人通りが多かったり、テレビやラジオが近いなど、騒音の多い環境も魚にとってはストレスとなります。
結果、飛び出し事故を誘発する可能性があります。

あまりに飛び出す頻度が多い場合には、水槽の置き場所も見直すと良いでしょう。

魚種によっては、ちょっと驚いただけでも飛び出してしまう種もいます。

ハチェットの仲間はジャンプ力に長けています。
驚くとすぐ飛び出すので、フタは必須です。

飛び出しからの蘇生方法

水槽外へと飛び出してから、発見が早ければ蘇生のチャンスがあります。
体表がまだ湿っていれば飛び出してからまだそこまで時間はたっていないでしょう。

エラが動いていれば、蘇生できる可能性があります。
エラが動いていなければ、残念ながら蘇生できない可能性が高いでしょう。

エラが動いている場合、明らかに生きていることが判断できる場合は水槽に戻しましょう。
動きが鈍く、ひん死の状態である場合はすぐさまバケツに飼育水を汲んでその中に魚を入れます。
可能であれば、エアレーションも追加するとさらに効果的です。
発見が早ければ、そして対応が上手くいけば、蘇生する可能性があります。

特に大型魚は体力があるので、発見が早ければ蘇生できる確率も高いです。
水槽外で魚を見つけてしまった場合は、まずすぐに体表の湿り具合とエラの動きを確認し、息があれば即座に蘇生を行ってください。

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買ったばかりの魚が死んでしまう原因まとめ

以下の7点をチェックしましょう
  • 水合わせをきちんと行っていますか?
    対策:水合わせをきちんと行いましょう。魚種によっては重要です。
  • ろ過バクテリアは定着していますか?
    対策:立ち上げたばかりの水槽にはろ過バクテリアが定着しておらず、アンモニアの分解能力が不十分です。お急ぎの際はバクテリア剤を投入すると有効です。
  • 飼育環境が生体の要求する水質に合っていますか?
    対策:水質を測定し、必要なら水質調整剤を使いましょう。
    ろ過バクテリアが定着していない場合は、バクテリア剤を用いると定着が早まります。
  • 環境の変化で病気にかかりやすくなります。症状は出ていませんか?
    対策:飼育環境が大きく変わると病気を発症しがちです。
    特に白点病はよく見ます。
    メインの水槽に入れる前に、トリートメントをしておくのが有効です。
  • エサを与えていても、食べていないことはありませんか?
    対策:エサをエサと認識できておらず、餌付けが必要な個体かもしれません。
    生餌を与えるなど、いろいろな種類の餌を試してみましょう。
  • 先住の魚と混泳相性はどうですか?
    対策:先住の魚との混泳相性はあらかじめ確認しておきましょう。
    加えて、個体の性格によっても差があります。
    性格相性は混泳させてみないことには分かりませんが、相性の悪い個体は同居させないようにしましょう。
  • 飛び出し対策は万全ですか?
    対策:フタをしましょう。
    一部の魚種は水槽外へと飛び出す事故が、病気の発生率より高いものもいます。
    小型種の場合はわずかな隙間から飛び出すことがあるので、できる限り密封できるフタを選びましょう。
    大型種の場合は、フタを設置しただけでは突き破って飛び出すこともあります。
    石などの重しを載せておくのも有効です。

買ったばかりの魚がすぐに死んでしまう理由の多くは、上記7点のいずれかです。
可能な限り点検し、同じ失敗は繰り返さないようにしたいところですね。

投稿者
ほにゃらら sp.

福島県産のワイルド個体。
ロカリティの詳細は残念ながら記録がない模様。
アクアリウム歴はだいたい20年くらい。
「同属内で多様なバリエーション」が好き。若干コレクター気味。
つまりコリドラスや、ミクロソリウムが最高。ということですね。

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