お祭りの人気屋台といえば「金魚すくい」がその一つ。
自分はやらないとしても、子どもが、家族がすくってくることはよくある話です。
金魚がわが家に来たら、もちろん育てなければいけません。
この記事は、金魚をすくってからの話で始まる金魚の飼育のイロハについてです。
ぜひ、ご家族と一緒にお読みください。
屋台で金魚をすくったら……
最速で帰宅せよ
屋台ですくった金魚はたいてい、小さなビニール袋に入れられます。すくった金魚の数、サイズにもよりますが、金魚を運ぶにはその袋はあまりにも小さいことを理解しておきましょう。
アクアショップでは、購入した魚に対してかなり大きめの袋に水と酸素をしっかりと入れて、袋の口を閉じてくれますが、屋台の金魚ではそうもいきません。
屋台巡りや花火、道路の混雑、慣れない浴衣姿など事情があるのは重々承知の上であえて言います。
金魚をすくったらできる限り最速で帰宅を目指しましょう。
現時点での金魚たち、狭いビニール袋とわずかな水で酸欠状態です。パクパクしているのは酸欠の証。一刻も早く新鮮な水が必要です。
帰宅までの緊急措置
だめだ、帰宅まで時間がかかる!という方はコンビニに飛び込んで水を買ってください。軟水の日本の天然水が良いです。最近では薬を服用するために常温のお水を置いてあるところもあります。冷えていないものがベストです。水を手に入れたら金魚のビニール袋の水を半分捨て、捨てた分だけ足し水をしましょう。そのようにしてでも頑張って帰宅するのです。
もし、途中で死んでしまった金魚が出たら、かわいそうですが他の金魚のためにもその個体は袋から取り出し、ティッシュにくるんで持ち帰りましょう。死んでしまった金魚は水を汚してしまい、残った金魚の生命を脅かすためです。
帰宅途中でできる最善のこと
もし、帰宅途中にペットショップかアクアショップ、ホームセンターが開いていたら「カルキ抜き」を買ってください。最近では、大きめの100円ショップやドラッグストアにもカルキ抜きは売っています。ビニール袋の中には酸欠で瀕死の金魚がいるので、ここでは最低限の買い物だけにして帰路につきましょう。水槽セットやエサは後日ゆっくり選べばいいのです。どこにもカルキ抜きを売ってない場合、コンビニで日本の天然水2Lを2本購入してください。
金魚に不可欠な飼育水の確保が金魚の生死を分ける最大の焦点となります。
そもそも弱っていることを忘れずに
金魚すくいの金魚たちは、小赤と呼ばれる餌用の無選別の金魚であることが多く、通常の金魚よりも安価なため、残念なことに流通過程で雑に扱われがちです。
そして屋台という移動前提の簡易的な環境に加え、不特定多数の人にポイで追いかけ回されるわけですから、疲れてしまっている金魚が多いのです。
水面でパクパクしていて簡単にすくえてしまう金魚はそもそも弱っています。本来、元気な金魚は紙のポイですくうことはできません。そのため、最善を尽くしても残念ながら死んでしまうことは珍しくありません。このことは頭の片隅に入れておいてください。
帰宅後の金魚の緊急保管方法
容器の確保
とりあえず緊急で金魚を入れておく容器を用意してください。
ガラスかプラスチック製ので大きなら容器なんでも大丈夫です。
・バケツ
・プラスチックのゴミ箱
・プラスチック収納ケースの引き出し
このあたりが間に合わせで使えそうなものです。
飼育水の確保
一番の問題は飼育水です。
奇跡的に帰宅までにカルキ抜きが手に入ったらそれを使って飼育水を作りましょう。
カルキ抜きが手に入らなかった場合は以下を検討してください。
- 浄水器の水
アクアリウム用の浄水器と比べると、家庭用の浄水器は塩素の除去率が低くなります。完全に飼育水として大丈夫とまではいきませんが、水道水よりはましなので使用しましょう。 - ペットボトルの水(日本の天然水)
安くても2Lで100円程度のコストはかかります。金魚のストック容器に家にあるだけのペットボトルの水を入れて、それでも足りない場合はやむを得ず水道水でかさ増ししましょう。金魚達が酸欠になるよりはましです。 - 沸騰させた水でカルキを抜く
鍋で水を5分ほど沸騰させるとカルキは抜けます。ただ、沸騰した水が冷めるまで時間がかり過ぎます。この間にも金魚たちはどんどん酸欠になっていくので現実的ではありません。
それでも、金魚をすくった時点で自宅に電話を入れ、水を沸騰させて冷ましておいてもらうことは可能かもしれません。もちろん、完全に冷えた状態でないと飼育水としては使用できません。金魚が煮えてしまいます。 - 水道水を使う
最後の手段は水道水の利用です。アクアリウム的には全く推奨されませんが、たっぷりの水道水を入れた大きな容器にできるだけ早く移してあげましょう。この方が生存率は上がります。緊急措置として最善を尽くすことが大事です。 - その他
自宅から井戸水が湧いている、近所にきれいな川が流れているのであれば、そういった水を利用することも可能です。もし、にがりや調味料、添加物の入っていない食塩があれば10Lに対して50gの量を溶かしてあげてください。これは塩水浴という体調不良になった金魚の体力を回復させる手段です。なければ大丈夫です。塩水浴に抵抗があればやめておきましょう。できることをできる範囲で行うことが重要です。
金魚を移す
飼育容器を確保して水を張ったら早速金魚を移動させましょう。
本来なら、温度合わせと水合わせを……というお話をしなければいけませんが、一刻を争う事態なのでこの場合は割愛します。ビニール袋の水は極限まで捨てて、できる限り金魚本体のみ移してください。また、移動直後に餌は不要です。むしろ数日間はあげなくても大丈夫です。
環境の変化・水質の変化等のストレスでそもそも食いが落ちています。そこに自宅にあったパンのくずや麩などを与えてもかえって水を汚してしまい、金魚にダメージを与えることになります。
ネットで必要なものを注文
金魚を一時避難容器に移し替えたら即、飼育に必要な道具を注文しましょう。
我らがcharmのネット通販は(セール時を除き)即日出荷が可能で、山口県を除く本州四国へは翌日のお届けが可能です。また、日によっては関東当日便の利用もできます。朝注文したら夕方には手に入る驚きのシステムです。(※関東限定サービス)
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何をそろえるべきか
水槽セット
お祭で金魚をすくって飼い始めた人向けに、各メーカーでは飼育セットを販売しています。サイズ的には3~4cmの金魚なら2~3匹程度を飼育可能です。どれを選べばいいのか迷うほどありますが、一つ言えることは、そのセットの中でもできる限り大きい水槽を選ぶようにしてください。
なぜならば、金魚はどんどん大きくなります。順調に大きくなったら最初に買った水槽はあっという間に買い替えになる可能性が非常に高くなります。
ですので、少し大きいかも……というくらいの方が丁度良いのです。
カルキ抜き
初心者向けの水槽セットには最初の1回分のカルキ抜きは付属しています。ただ、その後の定期的な水換えをする際のカルキ抜きや水質調整剤はついていないため、水槽セットと一緒に買うことをおすすめします。カルキ抜きや水質調整剤にはたくさんの種類がありますが、「金魚用」と書いてあれば何でも大丈夫です。
なお、金魚すくいの金魚は鱗剥げが結構多く、水カビ病の原因となってしまいます。粘膜の保護成分が入っているものがオススメです。
エサ
水槽セットに試供品のような餌が数日分付いていることがあります。すぐに足りなくなるので、別に餌を用意しましょう。浮上性・沈下性・弱沈下性・色揚げ・増体・低水温用……餌にもいろいろあり過ぎて白目をむいてしまうかもしれません。とりあえず金魚用でスタンダードなものを買えば大丈夫です。
その他
上記以外でそろえるものとして
- 底砂(金魚用の物)
- 水草(金魚藻といわれる水草がおすすめ。金魚のおやつにもなります)
- ライト(金魚用の水草を入れるならば)
- バックスクリーン(水槽の裏に張り付けて水槽の雰囲気をアップさせるもの)
- クリーナーポンプ(定期的な水替えの際に便利)
- ガラス磨き(水槽の面に生えたコケをきれいにします)
- 水温計(水温を見て水槽の状態を確認できます)
- 塩水浴用の塩(金魚の体調が悪いなと感じたら塩水浴をさせます)
- ヒーター(金魚用の低温のヒーター。冬限定で使用しても、しなくてもいい)
これらは飼育していくうちに欲しいなと思ったら随時購入してください。
他にも、お世話が楽になる便利グッズは山ほどあります。
導入するとこまめな世話も苦にならなくなるのでオススメです。
金魚すくいの金魚の種類
金魚すくいにいる金魚の種類を解説します
和金(小赤)
金魚すくいの金魚の99%がこの和金でしょう。金魚の基本形で、丈夫で泳ぐのが得意です。真っ赤な和金もいれば赤と白のまだら、赤と黒のまだらなんかも混ざっていることがあります。
黒出目金
金魚すくいの当たり的な存在として混ざっていることがあります。あえて混ぜているので、サイズが大きかったり狙われ過ぎて弱っていることが多いです。和金に比べると泳ぐ力が弱く、飼育にも注意が必要です。
筆者が飼っているのも実は黒デメキン。片方は転覆病から復活、片方はヒレが寄れていて左右の目の大きさが違うキュートなデメキンたちです。ちなみに、金魚は横から見るよりも上から見る方が可愛く見えるのはご存じですか?
コメット
ごく稀に和金の形なのに、尾っぽが長いものが混じっていたらコメットの可能性が高いです。こちらも和金同様に遊泳力が高く、丈夫なのが特徴です。
金魚を大切に
いっときの楽しさから金魚をすくってみたものの、面倒になって駅のトイレに流したり、川に流したり、街角に置き去りにしたりという悲しいニュースがお祭りの後に流れます。
もし飼えないのなら、屋台の人に返してもいいのです。
モラルのない行為は本当にやめましょう。
持ち帰る以上、大事に飼いきるのが道理です。
大切に飼えばよく人に懐いて、20年も長生きしてくれるかわいいやつですよ。
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