この名前を聞いてピンとこない方もいらっしゃるでしょう。
ヤマトヌマエビの影にに隠れたトゲナシヌマエビ。
今回はそんな存在のヌマエビさんにスポットを当ててみたいと思います。
生物学的データ
分類 | ヌマエビ科・ヒメヌマエビ亜科・ヒメヌマエビ属 |
体長 | 2~3cm |
食性 | 雑食 |
分布 | 西太平洋沿岸 熱帯・亜熱帯地域 |
トゲナシヌマエビはヤマトヌマエビの近縁種で、日本でも採取することが可能です。拡大写真でもわかるように、和名は額角が短く鋸歯が少ない(棘無し)ことに由来しています。
日本のヌマエビの中では太く丸みを帯びた体型で、体長も3cm前後と小型です。水質・水温の変化にも強く、初めて飼育される方にも心強い種となっています。
水質・水温の変化に敏感な淡水エビの中でも適応能力が高く、近縁種のヤマトヌマエビに比べても高水温に強い点、小さい体ではありますが、苔を食べる量は互角と言っていいほど。狭い場所や細かな部分はヤマトヌマエビより優れた機動力を持っていて、掃除屋としても優秀です。
寿命は1~3年とヤマトヌマエビと比較すると短命ですが、シュリンプ全体で見れば長生きです。
飼育に気を付ければ3~5年生きる個体もいるようです。
飼育環境
水槽サイズ
他の淡水エビと違って繁殖して増えることはないため、繁殖を考慮する必要はありません。
飼育スペースは単体飼育か水草水槽などでのお掃除役で考えると良いでしょう。
フィルター
フィルター選びも飼育環境に合ったもの(水槽のサイズに合ったもの)を選ぶと良いでしょう。
水温・水質
水温は15℃~28℃、phは弱酸性~中性と水温・水質に対して比較的幅広い適応能力を持ちます。淡水エビビギナーの方にも飼育のしやすい種ではないでしょうか。
混泳
大人しい性格であるため、混泳させることができます。
同種であれば複数匹での飼育も可能です。
ただし、熱帯魚との混泳には注意が必要になります。肉食性の強い熱帯魚は小型種でも口に入ってしまう恐れがあります。
熱帯魚との混泳の際は、水草や流木などで隠れる場所を多く作ってあげると良いでしょう。
繁殖
一般的なチェリーシュリンプやビーシュリンプとは異なり、淡水飼育での繁殖は不可能です。
自然界におけるトゲナシヌマエビは汽水域に生息していますが、幼生期は海水で育ちます。
このことからも、飼育下での繁殖は非常に難しいとされています。
もし、飼育されているトゲナシヌマエビが交接し、抱卵した場合は、
卵が発眼し始めたことを確認してから隔離水槽へ親個体を移動させます。
移動させる前に海水を70%薄めた飼育水(海水70%に対し、淡水30%の海水2Lを作ります。
3割程度捨て、淡水を3割入れる)を準備しておきます。
2~3Lの水量の容器にスポンジフィルター・モスを巻いた流木・エアレーションを入れ、親個体を移動させて様子を見ます。
ふ化した後、親個体は元の水槽へ移動させます。フィルターを入れておけば1~2週間は水換えしなくても問題ないと思いますが、可能であれば1日少量の水換えを行うと良いでしょう。
餌はインフゾリアを食べて育ちます。
成長(ゾエアから稚エビへの変態が20日~30日前後)し、脚を底に着けて生活し始めたら
飼育水の海水(汽水)の比重を徐々に下げて淡水に近づけるようにします。
(海水(汽水)を急に淡水化させると浸透圧の関係で害を及ぼすので注意が必要です。)
準備が諸々必要なことや成功例も非常に低いことから、一般飼育下での繁殖は難しいとされています。
底床(ソイル)
トゲナシヌマエビは弱酸性から弱アルカリ性と幅広い水質適応能力があるため、
底床は砂利からソイルまで使用することができます。
トゲナシヌマエビを単種飼育する場合、中性~弱アルカリ性を好む点から大磯・田砂などを使用し、環境を作ってあげると良いでしょう。
まとめ
トゲナシヌマエビは、適応能力が高く、小さいサイズながらヤマトヌマエビ同様の苔掃除をする優秀な掃除屋です。
淡水エビを飼ってみたいと考えているビギナーの方、ヤマトヌマエビは大き過ぎると考えている方にオススメの生体です。
ぜひ、ご家庭の水槽にお迎えしてみませんか。
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