今回ご紹介するのは、小さな体でも大きなヌマエビに負けないほどコケ除去能力の優れたトロピカルシュリンプです。台湾から入荷される台湾原産のヌマエビで、日本にいるヤマトヌマエビやミナミヌマエビと同じヌマエビの仲間です。
生物学データ
学名:Caridina multidentata 旧名:Caridina japonica)
分類 | ヌマエビ科・ヒメヌマエビ亜科・ヒメヌマエビ属 |
体長 | 3~5cm |
食性 | 雑食 |
主な原産地 | 台湾原産 |
体色は半透明で、日本産ヤマトヌマエビと変わらない表現模様になります。
90年代に初上陸してからコケ除去量力にたけていたようです。
小型のヤマトヌマエビと評判が良く、飼育も容易で、サイズ的にも余計なスペースを使わずに飼育が可能です。
実は日本のヤマトヌマエビと同種!
日本にもいるヤマトヌマエビと分類的に同種です。
透明感のある体色にスポット、尾びれにはヤマトヌマエビ同様に青いスポットがあります。
大きな違いはサイズです。大きくなっても5cm。入荷時からサイズは小さく、日本のヤマトヌマエビ(メス)ほど大きくはなりません。
※成長をするので小さいままではありません。
台湾ヤマトヌマエビ(トロピカルシュリンプ)とヤマトヌマエビの違いは?
トロピカルシュリンプは別名を「台湾ヤマトヌマエビ」といいます。ここでは、ヤマトヌマエビと比較する上でわかりやすいよう、台湾ヤマトと表記しています。
サイズ
ヤマトヌマエビ:オス3~4cm・メス4~6cm
台湾ヤマト:最大体長3~5cmほど
ヤマトヌマエビの方がメスの最大値が大きく、実際に肉眼で見るとかなり大きいです。それに比べて台湾ヤマトは輸入・入荷時点でサイズが小さく、チェリーシュリンプやミナミヌマエビ程度になります。
ヤマトは大きすぎるからちょっと苦手と思っている方にはオススメですが、成長すれば最大5cm程度になることは頭の片隅に置いてください。
※日本国内で採集、流通するヤマトヌマエビに比べ、台湾から空輸で輸入されるトロピカルシュリンプは販売価格が少しお高くなることが多いです。
歩行能力
ヤマトヌマエビも台湾ヤマトも同じくらい活発に動き回ります。
動き回るとはいえ、スピード・フットワークに関しては、ヤマトヌマエビの方が遅いように思います。
台湾ヤマトは俊敏かつ速さがあります。
ヤマトヌマエビは水槽いっぱいに広がってジッとしている印象もありますが、台湾ヤマトは常に水槽内を動き回っています。泳いでいる個体も多く見られることでも機敏さでは台湾ヤマトの方が勝っているものと思われます。
脱走能力もやや台湾ヤマトの方が強く、飼育の際にはガラス蓋などで脱走事故防止するようにしましょう。
コケ除去能力
ミナミヌマエビやアルジーライムシュリンプに比べると、ヤマトヌマエビの方がコケ除去能力が高く、トロピカルシュリンプもヤマトヌマエビと同等のコケ除去能力があるでしょう。黒ゴケにも献身的にアプローチをしている姿も良く見ます。
ただし、サイズの違いや個体ごとにコケ除去能力の差異はあります。
こちらの記事もあわせてご覧ください。
流通・入荷頻度
国産ヤマトヌマエビ、トロピカルシュリンプどちらも多く流通しています。
国産ヤマトヌマエビは夏の暑い時期や雨が多くなる時期は採集場所の減少、川の水量の増量などで漁ができず、流通量が減るようです。
トロピカルシュリンプは季節に左右されず、入荷が安定しています。
台湾からの空輸による輸入のため、価格は国産ヤマトヌマエビより高いことが多いです。
サイズのばらつきも国産のヤマトヌマエビに比べるとほとんどありません。ご自宅の水槽で飼育している小型種へ合わせるのも良いかと思います。
ヤマトヌマエビと近縁な小型のヌマエビ
トゲナシヌマエビ
学名:Caridina typus
西太平洋沿岸、熱帯・亜熱帯地域に分布する種。体長は3~4cmほどで、ヤマトヌマエビの近縁種、日本産、台湾産が流通することがあります。
近年は日本産が安定的に流通し、台湾産は流通しなくなりました。
トゲナシヌマエビについては、こちらの記事をご覧ください。
ヒメヌマエビ
学名:Caridina serratirostris
西日本から東南アジア、オーストラリア北部、マダガスカルに生息するヌマエビの仲間です。
色彩が美しい人気種で、ヤマトヌマエビと同様にヒメヌマエビ属(Caridina)に属していますが、サイズは体長3cmほどとミナミヌマエビくらいです。
背中に縦のラインが入るタイプ、数本のバンドが入る2タイプがいます。色彩変化に富み、茶褐色や赤、灰色、紫などの色彩が見られます。
台湾やインドネシアからの入荷もありますが、国産が安定して流通しています。
ライン模様は『スカンクシュリンプ』。バンド模様は『ニンジャシュリンプ』などの名前でも流通しています。
リュウグウヒメヌマエビ
学名:Caridina weberi
沖縄から東南アジア沿岸域原産の種です。体長は4cmほどで、ずんぐりしたフォルムと背中のラインが特徴的。トゲナシヌマエビに似ていますが、額角上縁に鋸歯が並んでいて、拡大して確認することで識別できます。
以前はトロピカルシュリンプなどと一緒に台湾から輸入されることがありましたが、近年ではほとんど見られなくなりました。
なお、国産個体の流通はほとんどありません。
沖縄には本種の近縁種が3種いるようです。『ウェベリ・シュリンプ』『ペンギン・シュリンプ』との別名を持ちます。
飼育方法・環境
ヤマトヌマエビと同じ飼育方法で問題ありません。
飼育環境などについては、こちらの記事をご覧ください。
混泳
国産のヤマトヌマエビに比べ、サイズが小さく、他種への攻撃性は低いです。
そのため混泳できる魚種や淡水エビの種類は多いです。
タンクメイトとしても優秀なことから同じ水槽掃除役との混泳も可能になります。
同種の混泳も可能です。ヤマトヌマエビとも混泳は可能です。混泳の際、隠れ家を多く入れてあげると良いでしょう。
シュリンプの交雑については、こちらの記事をご覧ください。
混泳できない種は、大型の魚種やシュリンプを餌としている種、同じエビでも大きいサイズの種は混泳できません。
まとめ
「ヤマトヌマエビでは大きすぎる」「ミナミヌマエビでは増えすぎる……」「もう少しコケ除去してほしい」という方にオススメの生体です。
ミナミヌマエビほどのサイズから飼育ができ、コケ除去能力も高いトロピカルシュリンプこと台湾ヤマトヌマエビ。ぜひタンクメイントとしてお迎えください。
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