今回ご紹介するのは、インドネシア・スラウェシ島に生息する「イエローラビットスネール」です。
スラウェシ島といえば独自な進化をした生物が多く生息します。また、海水の生き物に負けない美しさを持つシュリンプも生息しています。イエローラビットスネールもまた色鮮やかできれいな貝です。
そんなスラウェシ島の貝類の深掘りしていきます。
生物学データ
学名:Tylomelania sp.
分類 | チロメラニア属 |
体長 | 3.5~6cm |
食性 | 雑食 |
分布 | スラウェシ島 マリリ湖 |
イエローラビット・スネールは、スラウェシ島マリリ湖・ポソ湖などに生息する巻貝です。
カワニナのような黒い細長い殻に、鮮やかな黄色の体色を持ちます。黒い筋が入る個体もいて、とてもユニークな種です。現地マリリ湖の水質はアルカリ性で、飼育は水質が極端に酸性に傾くことがなければ問題ありません。
生息地はシアノバクテリアが豊富で、コケや水中に漂う有機物などを食べています。雑食ではあるものの、魚などを襲って食べることはなく穏やかな性格です。
イエローラビット・スネール以外にも『オレンジラビット・スネール』や『スターダスト・スネール』など多くのスネール類がいます。
スラウェシ島の5つの湖は地下でつながっていることから、交雑しているのではないかとも考えられています。
時折、入荷時に別の種が混ざっていることもあります。
スラウェシ産シュリンプと同様に、日本に初入荷された時は、今までの貝類には見られなかった鮮やかな色彩が衝撃的だったそうです。
下記の記事でもスラウェシ島の生き物の紹介をしています。
類似する貝の比較
同じスラウェシ島の湖に生息しているラビット・スネールを比較してみましょう。
詳しい詳細は分かっていない部分も多い種です。
体色
一番の比較になるのは体色です。『イエローラビット・スネール』は薄いイエロー、『オレンジラビット・スネール』は明るいオレンジ色をしています。
殻
殻にも分かりやすい違いが見られます。滑らかで凹凸が少ない『イエローラビット・スネール』に比べ、『オレンジラビット・スネール』は、殻頂に向かって凹凸があります。
同じスラウェシ島の貝の仲間、『スターダスト・スネール』には、『オレンジラビット・スネール』同様に凹凸がはっきりしています。
スラウェシ産ではありませんが、『シャバブラックラビット・スネール』は、『イエローラビット・スネール』以上に滑らかな殻を持ちます。
ラウンドス・ネール
学名:Celetaia persculpta
スラウェシ島はポソ湖原産の巻貝で、とても特徴的な殻を持っています。
階段のような段差を持った殻は、頭頂部が白く殻口付近は濃褐色に染まります。
今では流通はありません。
飼育方法
イエローラビット・スネールの単独飼育であれば30cm水槽以上であれば問題がありません。
※1匹に対し1.5Lが推奨になります。
水質幅の適応能力は高く、アンモニアや亜硝酸塩が多いと殻を閉じてしまいます。
水質悪化を防ぐため、飼育する容器に合ったサイズのフィルターを準備してください。
適応する水温は22~26℃、水質は中性~弱アルカリ性です。
ワイルド個体の生息域は、pH値や硬度が高めの汽水になります。淡水での飼育は問題がありません。
レイアウト
イエローラビット・スネールが生息するスラウェシ島のマリリ湖の水質は、弱アルカリ性でミネラル分が多いです。単独での飼育であれば現地生息地の環境に近い、石や化石サンゴなどがおすすめです。
石組がおすすめです。
新芽や柔らかい葉の水草は食害にあってしまうことがあるため、葉の硬い水草を選びましょう。
※植えたばかりの水草は掘り返してしまうこともあります。
強い光をさけるように、物陰にかくれたり、重なりあったりするほか、底床にも潜ります。
※貝類は夜行性が強く、明かりを嫌う傾向にあります。
ラビットスネールは、小型の魚やシュリンプ、貝類などと混泳が可能です。
※貝類を捕食するフグや大型の魚・ナマズは誤飲恐れもありますのでNGとなります。
餌(給餌)方法
主食はコケや水槽内の有機物を食べています。主食になるコケなど生えにくい環境であれば
熱帯魚用の餌も食べます。
プレコやシュリンプにあげる植物性の人工飼料やスピルリナなどを与えるようにしましょう。※ゆでたホウレンソウなども食べます
※生息環境では藻類が豊富であり量を多く食べるようですので、エサ不足には注意が必要になります。
混泳
魚・シュリンプなどとの混泳は可能ですが、貝類を捕食するフグや大型の魚との混泳はさけるようにしてください。
繁殖
イエローラビット・スネールは淡水での繁殖が可能です。水槽内で殖えますが、詳細は不明な点が多い種でもあります。
1.オスメスの判別
雌雄異体といわれています。外見では雌雄判別はできません。
※繁殖を狙うなら複数匹で飼育した方が良いでしょう。
タニシ、カワニナと同じ卵胎生なのでメスが体内で卵をふ化させ生まれてきます。
※1回の交尾で1年間繁殖するようです。
まとめ
イエローラビット・スネールは飼育は容易で、他の生き物との混泳も可能です。
貝類といえば「コケ除去役」といったイメージもありますね。
色味も鮮やかなちょっと風変わりの貝の飼育にチャレンジをしてみてはいかがでしょうか。
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