コリドラス・ベネズエラブラック<熱帯魚解説>

コリドラス
コリドラス種類解説(熱帯魚)

どうも、ほにゃらら sp.です。

今回紹介するのはコリドラス・ベネズエラブラック。
全身が真っ黒に染まる、個性派中の個性派とも言えるコリドラスです。
ややスレンダーな体型をしている点にも注目です。

コリドラス・ベネズエラブラックとは

生物学的情報
名前コリドラス・ベネズエラブラック
学名Corydoras schultzei
Corydoras sp.
Corydoras sp.cf.aeneus
別名コリドラス・ニューブラック
コリドラス・メラノタエニア “ブラック”
コリドラス・シュルツィ
分類ナマズ目カリクティス科コリドラス亜科
食性雑食
ノーズショートノーズ
アエネウス系
分布改良品種
飼育要件
飼育しやすさ★★☆☆☆
難しい
入手しやすさ★★★★☆
そこそこ見かける
混泳しやすさ★★★★★
とても混泳向き
最大体長5cm程度
適正水温22~27℃
pH生存可能:5.5~8.0
適正範囲:6.0~7.0
※あまり気にしなくてOK
備考臆病で食が細い上、導入時の水質の変化に敏感です。

コリドラス・ベネズエラブラックは全身が真っ黒になる、唯一無二とも言える色彩を持ったコリドラスです。
体型もややスレンダーである点も特徴の一つです。

その出自には複数の説があります。
以前はアエネウスやベネズエラオレンジの改良品種とされており、原種が不明な状態でした。

現在では「コリドラス・シュルツィ」の改良品種という説が最も有力です。
本品種は1990年代にドイツで作出されたといわれています。
主にヨーロッパでブリードされた個体が日本に輸入されています。

全身真っ黒に染まるのは本品種だけ
通称イルミネータスこと、シュルツィ

「コリドラス・シュルツィ」という名称にはあまりなじみがないかもしれません。

しかし、「コリドラス・イルミネータス」の名前だとピンとくる方がいることでしょう。

ベネズエラブラックは、イルミネータスのバリエーションの一つと考えることもできるのです。

本種の飼育に関しては、まず設備面は熱帯魚飼育に必要とされる基本的な設備を整えていれば問題はありません。
一般的なコリドラスと同様に、底砂に砂粒の細かいものを採用します。

目が細かい砂を使おう
田砂

コリドラスと田砂は定番の組み合わせです。

田砂の砂粒はほどよく細かいうえに角が丸く、コリドラスのデリケートな髭を傷つけない点が評価されています。

他にも、“ほどよく細かく、粒の角が丸い”砂であればコリドラスと好相性です。相性の良い組み合わせを探してみましょう。

コリドラサンド
ナチュラルネグロサンド
No.111 Spring Water
アマゾン川の白砂

一応、大磯砂でも飼育は可能です。

しかし、飼育難易度は一般的なコリドラスに比べるとやや難しめです。
いわゆる“クセのある”部類に入ってきます。

具体的には、サイズの割に「臆病で食が細い」、「導入初期に水質に敏感」である2点に注意します。

本品種は環境に慣れて落ち着けば飼育は容易ですが、流通している個体の多くが小型である点に留意します。

臆病で食が細い面があるので、気の荒い魚との混泳は避け、十分に餌が行き渡るように配慮しましょう。コリドラス同士の混泳は特に問題ありませんが、ベネズエラブラックに興味を示すような中型魚との混泳は向いていません。

導入時の水質の変化に弱い面がありますので、水合わせは時間をかけて慎重に行いましょう。


バリエーション

コリドラス・イルミネータス

学名:Corydoras schultzei

ペルー原産のコリドラスです。
ベネズエラブラックは本種の改良品種である可能性が高いといわれており、一見無関係に見えますが実は同種という関係になるようです。

本種はアエネウス系の体型に、メタリックなラインを持ち、コリドラスの中でも派手な美しさを持つ種です。
このメタリックな輝きをもつラインには、グリーンなどの色彩が違うタイプも知られています。
ベネズエラブラックでは、このラインは黒く塗りつぶされてしまい表現されないようです。

黒一色のベネズエラブラックと、蛍光色の派手なラインが特徴のイルミネータスが実は同種という関係にあるというのは、コリドラスの色彩表現の奥深さが感じられますね。
よく見ると、確かに体形も似通っています。

さまざまな色のイルミネータス
ゴールド
グリーン
レッド
ブルー

イルミネータスにはアルビノタイプの個体も流通します。

真っ黒なベネズエラブラックに対し、真っ白なアルビノ個体を混ぜてみるのも面白いかもしれません。

こちらは体形がスレンダーである点と、イルミネータスらしい輝くラインが残る点が安価な白コリとは異なります。

イルミネータス“アルビノ”

ベネズエラブラック似のコリドラス

ベネズエラブラック同様に全身真っ黒に染まるコリドラスは他にいません。
しかし、その分類には過去さまざまな説がありました。

分類において、関連のあった種を紹介します。

コリドラス・ベネズエラオレンジ

学名:Corydoras venezuelanus

緑とオレンジのコントラストが美しいコリドラスです。
名称こそよく似ており、まるで色違いの関係にあるように見えます。
しかし、その実は全く無関係な種といわれています。

鮮やかなオレンジがベネズエラブラックとの組み合わせるとより引き立ちます。
混泳相手としても良いでしょう。

コリドラス・メラノタエニア

学名:Corydoras melanotaenia

コロンビア、オリノコ川原産のコリドラスです。
“ゴールドグリーン”という別名も持つ、ベネズエラブラックと同じアエネウス系の非常に美しいコリドラスです。

こちらも体形がややスレンダーでベネズエラブラックと似ており、本種の改良品種がベネズエラブラックなのではないかとする説もあります。

本種の各ヒレは黄色味を帯び、アエネウス系のコリドラスの中でも際立つ美しさを持っています。
飼育は弱酸性の水質を用意し、高水温に注意が必要です。
一度落ち着けば、美しい発色を見せてくれます。


有用なアイテム

おすすめの組み合わせは次の通りです。

水槽フィルター底床
30~90cm外掛け、上部、外部タブレット、顆粒(沈下性)

30cm水槽以下であれば外掛け式、それ以上のサイズの場合は上部式か外部式がおすすめです。

冒頭にも述べた通り、底床には基本的に目の細かい砂を敷きましょう。

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コリドラスの専用タブレット、または沈下性の顆粒フードがおすすめです。

おすすめ

コリドラス専用フードが最適です。

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顆粒

沈下性であれば、こちらも適します。

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コリドラス・ベネズエラブラックの飼育に関しては、必要なアイテムは教科書通りで十分対応できます。

ただし、やや臆病な性格をしていること、小型個体は導入時の水質の変化に敏感なこと、流通する個体の大半は小型個体であることに留意が必要です。

コリドラス全般に共通する基本的な性質については、コリドラス共通ページをご覧ください。

コリドラスの世界
熱帯魚界の「ソコモノ」代表、コリドラスの情報サイト。コリドラスの飼育に必要な全ての基礎知識と、厳選した人気種をピックアップして紹介しています。

混泳について

コリドラス・ベネズエラブラックは非常に混泳向きのコリドラスです。
コリドラス同士であれば基本的に問題ありません。

他の魚種と混泳させる場合は若干臆病な性格をしているため、体格差の大きい魚との混泳はおすすめできません。
混泳相手のサイズは、なるべく本品種に近いサイズの個体を選びましょう。

グッピー、プラティ、テトラ、ラスボラといった、人気の小型熱帯魚であれば問題ないことが多いです。

混泳相手混泳相性備考
グッピー
グッピーは弱アルカリ性を好みます。
プラティ・卵胎生メダカ
多くの卵胎生メダカは弱アルカリ性を好みます。
カラシン・小型テトラ
コイ・ラスボラ
ローチ・ボーシャ・タニノボリ
ローチ、タニノボリ系は好相性です。
ボーシャ系の攻撃性を持つ種では注意が必要です。
フライングフォックス/アルジイーター
ドワーフシクリッド
アフリカンシクリッド
×
エンゼルフィッシュ
ディスカス
ベタ・グラミー・アナバス
コリドラス
オトシンクルス・ロリカリア
大型種の場合、遊泳域が重なるのでエサの取り合いが発生することがあります。
サイズや飼育数、遊泳スペースを調整すれば問題はありません。
※一般的なオトシンクルスやオトシンネグロは特に問題はありません。
プレコ
大型種の場合、遊泳域が重なるのでエサの取り合いが発生することがあります。
サイズや飼育数、遊泳スペースを調整すれば問題はありません。
※タイガー、ブッシープレコ系はトラブルを起こしにくいでしょう。
※セルフィン、ロイヤルプレコ系は力関係を要観察です。
レインボーフィッシュ
ハゼ・ゴビー
遊泳層が被るため、攻撃性の高い種では注意が必要です。
フグ・パファー
×
エビ・ビーシュリンプ
稚エビは食べられる可能性があります。
コリドラス・ベネズエラブラックの混泳相性表
※混泳相手の種や性格によっては、例外もあります。
◎・・・混泳に適した組み合わせです。
〇・・・混泳は可能ですが、種や個体の性格によっては工夫が必要な場合もあります。
△・・・混泳は不可能ではありませんが、適しているとは言えません。工夫次第で可能になる場合もあります。
×・・・混泳には適さない組み合わせです。

基本的には、コリドラスに対し攻撃を仕掛ける生体でなければ、ほとんどなんでも混泳可能です。
コリドラスがトラブルの火種になることは少ないですが、コリドラス以外の同居魚同士の相性はよく考えてあげてくださいね。

コリドラス以外の生体間での相性はあるので、留意しましょう。


病気について

ベネズエラブラックは、体表に白い膜が付いたようになる病気がよく見られます。
これは体表の粘膜が多く出ている状態で、寄生虫の感染によるものと考えられています。
原因となる寄生虫についての詳細は不明ですが、ツリガネムシによるものともいわれています。

またこの場合、寄生虫の脱落痕から細菌が二次感染することも多く、エロモナスなどの細菌性感染症を併発していることが多いです。

対策としては、薬浴と塩水浴が有効です。
ナマズの仲間なので魚病薬の使用は自己判断となってしまいますが、メチレンブルーと抗菌剤を併用することで効果が見られることがあるようです。

塩水浴を使用することで、体力回復を図ることができます。

▼こちらも参考

予防策としては、日頃から弱酸性の水質で飼育すること、硝酸塩の少ないろ過の効いた清浄な水で飼育することが有効です。

立ち上げ初期の生物ろ過ができ上がっていない水槽で特に発病しやすくなる性質があります。
このため、ベネズエラブラックの飼育に関しては導入までにろ過バクテリアを定着させておくことが大変重要といえます。


コリドラス・ベネズエラブラック まとめ

コリドラス・ベネズエラブラック。
全身真っ黒に染まる色彩は、他にはない特異なコリドラスです。

他の熱帯魚と組み合わせると引き締まった体色がよく目立ち、水槽内にもクールな印象を与えます。

飼育に関しては若干クセがあり、他な魚に対して臆病な姿勢を見せる上、導入時の水質の変化に敏感です。この点だけ配慮して、飼育すると良いでしょう。

本種の分類には紆余曲折ありましたが、その過程で関連した種との混泳も楽しめます。
イルミネータス、ベネズエラオレンジ、メラノタエニアと混泳させるのも、その変遷が感じられて奥深さがありますね。

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投稿者
ほにゃらら sp.

福島県産のワイルド個体。
ロカリティの詳細は残念ながら記録がない模様。
アクアリウム歴はだいたい20年くらい。
「同属内で多様なバリエーション」が好き。若干コレクター気味。
つまりコリドラスや、ミクロソリウムが最高。ということですね。

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