皆さんこんにちは、Tです。アクアリスト・レイアウターにとって水草の成長はうれしいですよね。そうはいっても、伸びすぎてしまうと景観を損なってしまいます。水草レイアウトをきれいに維持するためには水草のトリミングが必須です。でも、どうやってやればいいの?タイミングは?全種類同じやり方でいいの?そんな疑問にお答えします!
しばらく放っておいたら水草がもりもりに
水槽内の水質が整っていれば水草は順調に育っていくものです。しかし、伸びすぎてしまうとせっかくのきれいなレイアウトがなんだかもっさりした印象に。人間でいう散髪と似ています。
水草のトリミングを行ってすっきりさせよう
そこで、「トリミング」という作業を行う訳です。トリミングという言葉は「不要な部分を取り除く」という意味があり、アクアリウムだけでなく写真の加工技術や犬業界などさまざまな場面で登場します。ワンちゃんの毛を切って整えることもトリミングといい、その作業を行う人をトリマーと言いますね。水草のトリミングもこれらと同じように水槽の景観を整えるために行う作業です。
水草のトリミングに必要なもの
水草のトリミング作業をする際に必要なものはこちらです。
トリミングハサミ
ピンセット
ボウル
トレー
アミ
ゴミ箱
トリミングハサミ
水草のトリミングには絶対に必要なハサミ。スタンダードなストレートタイプ、刃が湾曲している先曲タイプ、本体がウェーブ状の波状タイプ など柄・刃の形状にバリエーションがあります。さらに本体の長さも選べ、水槽サイズやトリミングしたい場所に応じて使い分けることが可能です。
ピンセット
ピンセットは後述する差し戻しや株分けした後の植えこみ作業時に使用します。こちらもトリミングハサミ同様に、本体の長さや形状・先端のギザの有無を選ぶことができます。
ボウル
ボウルは株分けや差し戻し後の植え込みをする前に、水草の状態をチェックする際に使用します。葉の色や付着物が見つけやすいように白色のものがオススメです。
トレー
メンテナンスしている水草の仮置き場として利用できます。他にも必要器具置き場としても使えます。
アミ
アミはトリミングの際に出た水草のカスをすくい取るのに使います。適度な大きさかつ網の目が細かいのものを選びましょう。
ゴミ箱
作業中に出たゴミを入れておけます。オススメは水槽に引っ掛けられるゴミ箱です。ごみ捨てもらくらく!
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水草のトリミングを行うタイミングや頻度
水草のトリミングはタイミングが命です。タイミングを間違ってしまう水草の成長に支障をきたす場合があります。適切なタイミングを学んでおきましょう。以下のタイミングでトリミングを行うとよいでしょう。
水草が水面近くまで成長した
水草を状態良く保っていると、水面近くまで成長することもしばしば。元気に育っているのはうれしいことですが、ここまで来たらトリミングを行いましょう。水面近くまで育った水草は水槽の上部を覆うため、前景草などの草丈の低い種類の光合成を阻害してしまう場合があります。
水槽内で影の部分が多くなっている
水槽内にできる影の部分が多いということは、水槽の大きさに対して水草の量が多すぎるというサインです。水槽内の影の部分が多くなると光合成がうまくできなくなるなど、他の水草の成長を阻害してしまう可能性があります。
生体の動きを抑制してしまう
特に小型水槽の水草レイアウトで起こりやすい事例です。水槽内に水草が密生しすぎて、導入している生体の動きを抑制してしまう可能性があります。小型魚などが水草に絡まって死亡してしまうことにもなりかねません。生体の安全を確保するためにもトリミングを行い、適度な空間を作ってあげましょう。
枯れ葉が目立つ、葉にコケの発生が多く見られる
上記のような条件が重なると、葉が枯れてしまったりコケが目立ってきます。また、水槽内の通水性が悪くなり流れがほとんどない「淀み」の部分ができます。淀みの部分は嫌気性バクテリアが増殖しやすく水質悪化が加速しやすいです。そうなる前に、トリミングを行い適度な空間を作ることが大切です。
水草のトリミングを行うメリット
トリミングを行うメリットはいくつかあります。以下の通りです。
光が届かない領域を減らす
伸びっぱなしで水草を放置していると水草に光が届かない部分ができます。すると、光合成がうまくいかなくなって水草の成長に支障をきたす恐れが出てきます。水草を適度にトリミングすることで影になる部分を減らし、効率の良い光合成をうながせます。
通水性を良くする
水草が密生しすぎていると通水性が悪くなって淀みができてしまい水質悪化が加速します。密生しすぎた水草をトリミングすることで通水性の確保が可能です。
株のボリュームアップ
上記2点からトリミングを行うと水草が健康的に育つようになり、結果的に株全体のボリュームアップにつながります。特に有茎草はピンチカットをすることで、脇芽が増えボリュームアップを図れます。
目的や水草の種類に応じて最適なトリミング方法を選ぼう
ひと口にトリミングと言っても目的や水草の種類によって適切な方法があります。ひとつずつ見ていきましょう。
有茎草のトリミング
有茎草はその名の通り、茎があるタイプの水草です。ロタラやハイグロフィラ、アナカリスなど非常に多くの種類があります。有茎草をトリミングするときは成長点である節に注意して作業を行いましょう。成長点を意識せずに根元から切ってしまうとトリミング後に水草が枯れる原因になります。かといって、高すぎる位置にハサミを入れてしまうとその地点から脇芽が出てきて少し不格好になってしいます。だいたい2~3節目くらいでハサミを入れましょう。
ピンチカット
ピンチカットは水草が伸びすぎたとき、レイアウトの美観を維持するために行うトリミング方法です。伸びすぎたところを刈り取り見た目を整える最もベーシックな方法といえるでしょう。有茎草はカットしたところから脇芽が出てくる性質があります。この性質を利用してピンチカットを繰り返すことで株をボリュームアップさせることが可能です。底床に十分な栄養があれば、2~3回はピンチカットできます。水草レイアウトの基本的なトリミング方法ですが、繰り返し行っていくとだんだんと成長が悪くなっていくので注意が必要です。
差し戻し
水草のボリュームが増えてきたら、差し戻しを行いましょう。美観を整える他に、水草の増殖を狙うときや下の葉が傷んだりコケが生えたりしたときに実施します。水草の中間地点を切り取り上部を植栽します。すると、数日後に発根して成長します。
まず、水槽内にある水草を抜きます。勢いよく抜くと底床内の栄養分があふれ出てしまうため、できる限りゆっくり静かに抜きます。
次に水草をカットします。この時、水草の頂点をそろえると同時に、植える部分のことも考えて少し長めにカットします。
最後に植栽します。2~3束ほどまとめて植栽すると、効率的かつ成長した時にボリュームが出やすくなります。
差し戻しは、ピンチカットを繰り返し行い成長しきって元気がなくなってしまった水草の調子を戻せる場合があります。ピンチカットを繰り返しながら成長している水草は根が古くなったまま草体を大きくしている状態です。この状態では栄養の供給が追い付かなくなり、頭頂部が小さくなるなどの症状が出てしまいます。ここで差し戻しです。根を新たに出させることで根を元気にさせると同時に草体が切り詰めて栄養を全体に行き渡せることができるようになります。
ロゼット型の水草のトリミング
アマゾンソードやクリプトコリネなどのロゼット型の水草は中心から新芽が生えてきます。トリミングは外側の枯れたり傷んだりしている葉を重点的に行いましょう。根元からハサミを入れてしまって構いません。
株分け
株分けはエキノドルスやアヌビアスなど、根が塊状になっている水草に対して有効です。切り分けられそうな所にハサミを入れて切り分けます。上の図では2つに分けていますが、水槽のスペースに余裕があれば細かく切り分けても構いません。
前景草のトリミング
前景草はニューラージパールなど這うように育つものが多く、密集しすぎると特に調子を崩す可能性があります。前景草の厚みが2~3cmほどになったらトリミングを行いましょう。前景草をトリミングする際はなるべくソイルに近い位置にハサミを入れるのがポイントです。元々密集しやすいタイプなので高い位置にハサミを入れてもあまり意味はありません。
活着性の水草のトリミング
活着する性質のある水草、流木に巻きつけて使用することの多い水草はどのようにトリミングすればいいのでしょうか?ここではモス・ミクロソリウム・アヌビアスを例に挙げて解説していきます。
まずはモスです。モスの仲間にはウィローモス、南米ウィローモス、プレミアムモスなどさまざまな種類がありますが、どれも基本的にカットする位置は決まっていません。全体を整えるようにトリミングすると良いでしょう。
次に、ミクロソリウムです。ミクロソリウムもプテロプス・トライデント・ナローリーフなどさまざまな品種が作出されています。ミクロソリウムは株の中心から新芽が生えるので、外側の葉から悪くなっていきます。従って、ミクロソリウムをトリミングする際は外側の葉を根元付近からカットします。株が密になりすぎていると根元に水流が当たらなくなり調子を崩すので、葉数が多くなっている場合は葉数を減らしてボリュームを落としてあげましょう。
最後にアヌビアスです。陰性水草では知らない人はいない王道の水草ですよね。アヌビアスもミクロソリウムと同様に株の中心から新芽が出てくるので外側の葉を根元からカットします。アヌビアスは特に葉の成長が遅いため、葉が枯れてしまったり葉にコケがついてしまいがちです。トリミングの際はそういった葉を切り落としてしまいましょう。
\水草ってどうやって巻くの?巻き方はこちらの記事をチェック!/
水草をトリミングした後のケア
水換え
水草のトリミングが終わったら水換えを行うことを推奨します。水草の断面や巻きあがった底床からは栄養分や汚れが出ます。これらの物質は苔の発生や生体の調子を崩す原因であり、この環境は決して良い環境とは言えません。
追肥
差し戻しや株分けなど、一度水草を抜いてもう一度水槽に導入する作業を行う時は底床内に固形肥料を混ぜ込みましょう。固形肥料の添加を行うことで傷んだ水草の回復を促進してくれます。
まとめ
最後までお読みいただきありがとうございました。
意外と悩みどころな水草のトリミングについて理解を深めていただけましたか?皆様のアクアリウムライフのお助け記事になれば幸いです。
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